~2025年10月4・5日実施~
福島県のほぼ中央に位置する大玉村。名峰・安達太良山の恵みによって美味しい農作物が生産されています。大自然の贈り物をたっぷりと味わえる大玉村で、2025年10月4・5日、モニターツアーが実施されました。
安達太良の伏流水で育まれる絶品の米と野菜
日本百名山で知られる標高1700㍍の安達太良山。その麓に広がる大玉村は、安達太良山を源とする伏流水と肥沃な大地に恵まれ、県内有数の米どころとして知られています。そんな大玉村の豊かな自然を体感してもらおうと2025年10月4・5日、村主催で1泊2日のモニターツアーが実施。友人同士、家族など首都圏在住の7組15人が参加しました。
大玉村産業課商工観光係の官野学さんは、「大玉村は安達太良山のふもとに広がる扇状地です。ですので、安達太良山とそこから流れる川が重要なんです。安達太良山に降った雪が地中にしみ込み、ろ過されます。それは伏流水として小さな沢となり杉田川や安達太良川に注ぎ、阿武隈川へ。そして太平洋に注きます。大玉村は水源地としての責任があります」と笑顔で話します。「この伏流水こそが村の田畑の源泉。米の収穫や豊かな村の農産物を味わい、それらを育む安達太良山の登山を通して、水の大切さを感じ取ってほしい」とツアーの目的を説明しました。
まずは、新鮮な農産物を販売する「あだたらの里直売所」の近くにある田んぼで、米の収穫体験へ。米農家の伊藤洋さんの説明を受けながら、鎌を持って稲刈りをスタート。100平方メートルの体験用稲田を30分ほどで刈り取りました。刈った稲を束ねて、風や日差しによく当たるように、杭に稲の穂を交互に四方に掛ける「棒立て(ぼうたて)」を行いました。天日でゆっくり乾燥させることで、より一層食味を増し、美味しい米に仕上がるのだそう。
体験後は新米おにぎりでひと休み。直売所の休憩所で、大玉村産の福島県ブランド米「福、笑い」と「天のつぶ」のおにぎりの食べ比べをしました。「福、笑い」は福島県が14年かけて開発した品種で、2021年に本格デビュー。香り、甘み、ふくよかさに優れています。福島県のオリジナル品種「天のつぶ」は光沢がよく、しっかりとした食感で、噛むほどに旨みが口の中に広がります。参加者の田仲成男さんは「『福、笑い』はすごく甘い。『天のつぶ』はしっかりした食感で、旨みが強い」と絶賛。さっそく、直売所で「福、笑い」をお土産に購入していました。
大玉村では、食味値の高さや、環境に配慮した栽培方法などき5つの厳しい条件を満たした村産米を「あだたらの恵」と名付けてブランド化しました。2025年10月から村のふるさと納税の返礼品にもなり、今後もますます大玉村のお米に注目が集まります。

参加者全員で大玉村産米の収穫体験
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「美味しい米や野菜を作るために、安達太良山の自然と水を守ることが大切」と官野さん

米農家の伊藤さんに鎌の使い方、稲の束ね方などの指導を受ける

「最初は難しいかなと思いましたが、(収穫は)やってみると楽しいですね」と親子で参加した田仲成男さんと航さん

日差しと安達太良山からの風を受けさせるために、稲を杭に掛ける棒立てを体験

あだたらの里直売所の休憩所で提供されたおにぎりと豚汁

品種の違う新米のおにぎりを食べ比べ

あだたらの里直売所に並ぶ新米。大玉村の主力品種はコシヒカリで、生産の8割ほどを占める

「都会では買えない値段。どれも安い!」と朝採れの野菜を手にする永鳥知歩さんと奥嶋健吾さん
大玉村産の米で醸した地酒に酔い、旬の食材に舌鼓
宿泊は安達太良の丘陵にある大玉村カントリークラブ内の「大玉リゾートヒルズホテル」。雄大なロケーションと敷地内から湧出する天然温泉が自慢です。ホテル到着後、翌日の安達太良山登山でガイドを務める「安達太良・吾妻 自然センター」代表の一瀬圭介さんによる説明会が行われました。安達太良山の成り立ちや山登りの心得を説明。その中で「安達太良山の雪解け水は地中にしみ込み、ろ過され、湧き出ている、いわば天然の浄水器。大玉村をはじめ山麓の美味しいものは、美味しい水があってこそ。(説明会で提供した)ここにある大玉村産の米を使った日本酒は、雪解けから酒になるまでおよそ40年かかっています。そんな自然の恵みがもたらすストーリーを考えながら登ってみてください」とひと味違う安達太良登山の楽しみ方を教えてくれました。
説明会の最中に、ふるまわれたのが「田植おどり」と「十二神楽」。どちらも大玉村産の天のつぶで醸しているが「田植おどり」は、米の香りとコクのある味わい。より辛口に仕上げた「十二神楽」は、フルーティーでまろやかな味わいが特徴です。参加した江口将史さんと須貝雄一さんは、「酒の味には詳しくないですが、どちらも飲みやすくて、ぐいぐい杯が進みますね」と満面の笑み。
夕食は料理長の佐久間守栄さんが、ツアー用の特別メニューを用意しました。大玉村産をはじめとした福島の山海の食材をふんだんに使った献立が並びました。もちろん村産コシヒカリのご飯も提供。永鳥知歩さんは「どれも美味しくて、すっかり食べすぎてしまいました」と笑顔で話しました。

「米も地酒も、水が美味しいからこそ」と安達太良山の偉大な自然を語る一瀬さん

「田植おどり」「十二神楽」は大玉村産米を使用。友人同士で参加した飯村温子さんと與世田美咲さんが、おいしく乾杯!

地酒をかたわらに夕食を楽しむ須貝雄一さんと江口将史さん
(文・撮影/旅行読売出版社)
